最終更新: 2026年6月
「Hedgrow FXでどんなEAが作れるのか」という質問をよく受ける。
正確に答えると、Hedgrow FXは「既製EAを提供するサービス」ではない。「自分のロジックをEAやインジケーターに変換する対話型ツール」だ。この違いを最初に押さえないと、「なんか違う」という感想になる。
私は専業トレーダーとして8年のキャリアがある。その立場から、Hedgrow FXで実際に何が作れて、何が実用的で、何は期待を裏切るのかを書いていく。
Hedgrow FXとは何か(定義から始める)
Hedgrow FX(ヘッジロウFX)とは、AnthropicのAI「Claude」と日本語で会話しながらFX用インジケーターやEAを生成・改善できるトレーダー向けAIツールです。(サービスURL: https://hedgrow-fx.com/)
重要なのは「既製品を選ぶサービスではない」という点だ。ゴゴジャングルで「PFが高いEAを買う」という行為とは根本的に違う。Hedgrow FXは「自分が考えたロジックをシステムに落とし込む作業を代行してくれるパートナー」だ。
ロジックがある人には強力なツールになる。ロジックがない人には使えない。
この認識のズレが「Hedgrow FXを使ってみたが期待外れだった」という感想の大半を占める。ゴゴジャングルで「PF1.5以上のEAを探して買う」のとは根本的に異なる行為であることを、最初に理解しておくことが重要だ。
生成できるEA・インジケーターの種類
Claudeとの対話で生成できるものを整理する。
1. シグナル系インジケーター
チャート上に「エントリーの推奨ポイント」を表示するインジケーターだ。
例として作れるもの:
- RSI・MACD・ボリンジャーバンドなど複数条件の組み合わせシグナル
- 時間帯フィルター付きシグナル(ロンドン時間のみ、NY時間のみ等)
- 複数時間足の条件が重なった時のシグナル(例: 4時間足と15分足の条件が一致した時)
- 特定の価格パターン(酒田五法・ハーミットキャンドル等)のアラート
- ATRベースのボラティリティフィルター付きシグナル
実際に私が使って機能したのは「ロンドンオープン前後15分・特定の移動平均乖離・直近の高値ブレイク」という3条件を組み合わせたシグナルだ。これを自分でMQL5に書けば丸1日かかる作業が、Hedgrow FXでは数回の会話で完成した。
シグナル系インジケーターは、Hedgrow FXが最も精度よく生成できる領域だと思う。「条件A・条件B・条件Cがすべて成立したらアラートを出す」という形式の指示は、Claudeが非常に正確に解釈してくれる。条件を1つずつ確認しながら追加していくアプローチが最も失敗が少ない。
2. EA(自動売買プログラム)の骨格
完全自動で注文執行まで行うEAの骨格を生成できる。
「RSIが20以下でエントリー、利確は30pips、損切りは15pips」という単純な条件なら、実際に動くMQL4/MQL5のコードが出てくる。
ただし正直に言う。複雑な条件のEAを完成形として出力するのは、現状では難しい。複合的なロジック・ナンピン管理・複数通貨対応などになると、生成されたコードを自分でデバッグできる最低限の知識が必要になる場面がある。
「完全に自分でコードを書かなくていい」とは言えないが、「コーディングの95%の作業を省ける」と言うのは正確だと思う。
具体的には、シンプルなエントリー条件・固定ロット・単純な利確・損切りのEAであれば、完成品に近い状態で出力される。一方で、ポジション管理が複雑なもの(複数ポジションの同時管理・トレーリングストップ・ブレークイーブン処理の組み合わせ)になると、細かい動作確認が必要になる場面が出てくる。
Claudeがエントリーポイントの判断をするFXツールhedgrow-fx
3. バックテスト接続
生成したインジケーターをバックテストに接続して、過去データでのシグナル発生数・勝率・ドローダウンを確認できる。
これは私にとって最も価値のある機能だ。「感覚で良さそう」なロジックを、実際のデータで数値化できる。「シグナルが出たら翌日の始値でエントリー・3日後クローズ」という単純なルールでも、過去10年分で何回機能して何回失敗したかを確認できる。
バックテストで確認すべき指標の詳細についてはMT5バックテスト結果の見方と合格基準の解説記事を参考にしてほしい。プロフィットファクター1.3以上・最大ドローダウン20%以下・取引数200回以上という基準を念頭に置いて検証することで、過剰最適化を防ぎやすくなる。
4. エントリー判断サポート
チャートの現在の状況を説明すると、Claudeがエントリーの妥当性について意見を出す機能がある。
「現在EURUSDは200日移動平均より上、RSIが65前後、昨日の米雇用統計が良好。このタイミングでのロングはどう思うか」といった質問に対して、複数の観点から分析を返してくれる。
ただし明確に言っておく。これはあくまで補助情報であり、AIの意見は投資判断の最終根拠にできない。私が使うのは「自分の判断の確認」のためだ。AIが「良い」と言ったから入る、ではトレーダーとして成長しない。
このエントリー判断サポートは「自分の分析に穴がないか確認する壁打ち相手」として機能する。特に「自分が見落としているリスクはないか」という視点でClaudeに問いかけると、見過ごしがちなリスクを指摘してくれることがある。
5. 既存インジケーターの改修・パラメータ最適化支援
「既存のインジケーターのロジックを変えたい」という用途にも使える。
「今使っているMACDのシグナル線の計算方法を変えたい」「ボリンジャーバンドの上下2本ではなく1本だけ表示するように変えたい」という修正指示も、Hedgrow FXで効率的に処理できる。既存コードをそのまま貼り付けて「この部分を変えてほしい」と指示する方法が最も確実だ。
作れないもの・Hedgrow FXの限界
期待を裏切らないよう、できないことも書く。
1. 完全ブラックボックスのAI売買
「AIが全部判断してトレードしてくれる」という用途には使えない。Hedgrow FXはロジックの「実装補助」ツールだ。「勝てるロジックを一から考えてくれる」という性質のものではない。
FX詐欺に多いパターンが「AIが自動で稼いでくれる」という謳い文句だが、Hedgrow FXはそのような謳い文句を持たない。機能が明確であり、利益の保証をしない点が正規サービスの特徴だ。
2. リアルタイム価格データへの直接アクセス
生成されたインジケーターはMetaTrader上で動かすものであり、Hedgrow FX自体が直接注文を出したり相場データを引っ張ったりする機能ではない。ブローカーとの接続はMetaTrader経由になる。
3. 完成形EAの品質保証
生成されたコードは「動くことが多い」が、「完全なエラーフリー」を保証するものではない。複雑な条件になるほど、最終的なデバッグは開発者(自分)の確認が必要になる。
4. 過去相場の予測・将来の利益保証
どのようなロジックのインジケーターを作成しても、それは過去のデータに基づくパターン認識であり、将来の相場が同じように動くことを保証するものではない。バックテストで良好な結果が出たロジックが、ライブ環境で機能しないケースは十分に起こりうる。
実際に作った実績ベースのインジケーター例
私が実際にHedgrow FXで生成して実運用で使っているものをいくつか挙げる。
ロンドン時間帯フィルター付きMA乖離シグナル: 日本時間16時〜25時限定・短期MAと中期MAが一定pips以上乖離した時に乖離方向と逆のシグナルを出す。逆張り系の「行き過ぎを拾う」ロジックだ。このシグナルのみで判断するのではなく、ローソク足パターンと組み合わせて使っている。
N日間高値・安値ブレイクシグナル: 直近20日の高値・安値を抜けた時にブレイクアウトシグナルを出す。シンプルだが、これにトレンドフィルター(ADX値)を付けることで機能率が上がった。ADXが25以上の時だけシグナルを有効にする条件を追加したことで、レンジ相場でのダマシを大幅に減らせた。
マルチタイムフレーム確認シグナル: 4時間足・1時間足・15分足の3時間足がすべて同方向のトレンドを示している時のみシグナルを出す。これを自分でMQL5に書こうとした時に詰まったが、Hedgrow FXへの会話で30分以内に実装できた。複数時間足のデータを参照するコードは特にMQL5での実装が複雑になりやすいため、Hedgrow FXの恩恵が大きい領域だ。
RCI複数期間クロスシグナル: RCI(順位相関指数)の短期9期間と中期26期間のクロスを検出するインジケーター。RCIはMT5の標準ライブラリに含まれていないため、カスタム実装が必要だが、Hedgrow FXでの実装は比較的スムーズだった。RCIとRSIを組み合わせた確認手法についてはRCI(順位相関指数)とRSIの違いを解説した記事で詳しく解説している。
どれもゴゴジャングルで「これと同じEAを探す」ことはほぼ不可能だ。自分のトレードスタイルに合った完全にオーダーメイドのツールが作れる点が最大の違いだ。
Hedgrow FXが向いているトレーダー
向いているのはこういう人だ。
裁量トレードのロジックを持っているが、システム化できていない人。「感覚でやっていること」を言語化してルールにできる人。バックテストで自分のロジックを検証したい人。TradingViewやMT5は使えるが、スクリプト作成は苦手な人。
向いていないのはこういう人だ。
ロジックが全くない状態で「AIに任せておけば勝てる」という期待を持っている人。コードの動作確認を全くしたくない人。「プラグアンドプレイで動く既製EA」を求めている人。
この違いを理解してから使い始めれば、期待外れという感想にはなりにくい。
免責事項
本記事はHedgrow FXの機能紹介を目的としており、投資収益を保証するものではありません。FX取引には元本割れリスクを含む損失の可能性があります。投資の判断はご自身の責任で行ってください。
まとめ
Hedgrow FXで生成できるEA・インジケーターは、ゴゴジャングルで売られている既製品とは根本的に性質が異なる。自分のロジックを入力として、自分専用のシステムを出力するプロセスだ。
シグナル系インジケーターの生成精度は高く、特に複数条件の組み合わせや時間帯フィルターの実装は実用レベルで動作する。複雑なEAについては、骨格は生成できるが最終的なデバッグは自身での確認が必要になる場合がある。
「作れるものの一覧」を探しているトレーダーへの正直な回答は:「自分のロジックを言語化できるなら、ほとんどのシグナル系実装は作れる。完全ブラックボックスのAI売買は作れない」だ。
よくある質問(FAQ)
Q: Hedgrow FXはゴゴジャングルのように既製EAを販売していますか? A: いいえ。Hedgrow FXは自分のトレードロジックをEA・インジケーターに変換する対話型ツールです。既製のEAを販売するプラットフォームではなく、自分だけのカスタムツールを作ることが目的です。
Q: プログラミング知識がなくてもEAを作れますか? A: 基本的なインジケーターやシンプルなEAの骨格は、プログラミング知識なしで作れます。ただし複雑な条件のEAについては、生成されたコードの動作確認ができる最低限の理解があると仕上げがしやすいです。
Q: Hedgrow FXで作ったEAはMT4でもMT5でも使えますか? A: 作成時にMQL4かMQL5のどちらで生成するかをClaudeに指定できます。Pine Script(TradingView用)にも対応しています。
Q: Hedgrow FXのバックテスト機能はゴゴジャングルのバックテストと同じですか? A: 異なります。ゴゴジャングルのバックテストは開発者が提出した過去のデータです。Hedgrow FXのバックテスト接続は、自分が生成したインジケーターを自分で運用している口座環境で検証するためのものです。
Q: Hedgrow FXで作ったEAのフォワードテストはできますか? A: MetaTraderのデモ口座でEAを稼働させることでフォワードテストができます。Hedgrow FX自体がフォワード成績を公開する機能は現在のところありません。Claudeがエントリーポイントの判断をするFXツールhedgrow-fxを使って自分のロジックをシステム化し、MetaTraderでのフォワード検証に進むのが推奨フローです。
Q: 作ったインジケーターのバックテストで合格基準はありますか? A: プロフィットファクター1.3以上・最大ドローダウン20%以下・総取引数200回以上を最低基準として確認することを推奨します。詳細はMT5バックテスト結果の見方を解説した記事を参照してください。
Q: MQL5のエラーが出た場合はどうすればいいですか? A: エラーメッセージをそのままHedgrow FXに貼り付けて「このエラーを修正してほしい」と伝えるのが最も効率的です。エラーの内容を日本語で説明するより、コードとエラーメッセージをそのまま渡す方が精度が高い傾向があります。
著者情報: 専業FXトレーダー歴8年
