国内FXと海外FXの税率の違いを比較|副業サラリーマンが知るべき確定申告の基本
最終更新: 2026年06月
FXで副業収入を得るようになって最初に驚いたのが、「どこで取引するかで税率が変わる」という事実でした。国内FXと海外FXでは課税方式がまったく異なり、年収や利益額によっては手取りが大きく変わってきます。
私も最初の3年間は損失を出し続けていたので確定申告は赤字申告だけでしたが、利益が出始めた頃に「海外の業者の方が税率が低いのでは?」という噂を耳にしてきちんと調べました。結論から言うと、ケースバイケースでしてね。むしろ給与所得者には国内FXの方が有利になることが多いんです。
この記事では、副業サラリーマンの視点で国内FXと海外FXの税率の違いを具体的な数字で解説します。
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【結論】国内FXと海外FXの税率の違い(表で一目比較)
まず結論を表でまとめます。
| 項目 | 国内FX | 海外FX | |---|---|---| | 所得区分 | 先物取引に係る雑所得等 | 雑所得(その他) | | 課税方式 | 申告分離課税 | 総合課税 | | 税率 | 一律20.315% | 15〜55.315%(所得による) | | 給与所得との合算 | なし | あり | | 損益通算の範囲 | 国内FX同士・商品先物等 | 同年の他の雑所得 | | 損失の繰越控除 | 3年間可能 | 不可 | | 根拠法令 | 租税特別措置法第41条の14・第41条の15 | 所得税法第35条 |
出典:国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」
この表の「税率」の行だけ見ると海外FXが安そうに見えることもあるんですが、給与所得と合算される点が曲者です。次のセクションで順番に見ていきます。
国内FXの税率:申告分離課税20.315%の仕組み
国内の金融商品取引業者(金融庁登録業者)でFX取引を行った場合、利益は申告分離課税の対象になります。
申告分離課税とは、給与所得など他の所得と切り離して(=分離して)、別途一定の税率で課税される仕組みです。
税率は一律20.315%(内訳:所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)。復興特別所得税は東日本大震災の復興財源として2013年から2037年まで適用されています。
給与年収が600万円でも800万円でも、FX利益に対してかかる税率は変わりません。これが申告分離課税の最大のメリットです。
仕事終わりに30分だけ取引して得た利益でも、週末にじっくり分析して得た利益でも、国内FXなら税率は常に20.315%。税額の見通しが立てやすいのは、副業サラリーマンにとって地味に助かります。
海外FXの税率:総合課税で最大55.315%になる理由
一方、海外(日本の金融庁に未登録の)業者でのFX取引による利益は総合課税の雑所得として扱われます。
総合課税とは、給与や事業所得など他の所得と合算して課税する方式です。所得が多いほど高い税率が適用される累進課税になります。
所得税の税率(住民税10%と合算した実効税率)をまとめると次の表のとおりです。
| 課税所得合計 | 所得税率 | 住民税 | 合計実効税率 | |---|---|---|---| | 195万円以下 | 5% | 10% | 15% | | 195万円超〜330万円以下 | 10% | 10% | 20% | | 330万円超〜695万円以下 | 20% | 10% | 30% | | 695万円超〜900万円以下 | 23% | 10% | 33% | | 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 10% | 43% | | 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 10% | 50% | | 4,000万円超 | 45% | 10% | 55%+復興特別所得税 |
出典:国税庁「所得税の税率」
注記: 住民税は標準税率10%として計算しています。自治体により若干異なる場合があります。また、各段階の所得税率に復興特別所得税(所得税額の2.1%)が別途加算されます(2013年〜2037年)。
たとえば給与所得が600万円の人が海外FXで100万円の利益を出すと、課税所得は700万円超になります。この場合、FX利益分には33%以上の実効税率が適用される可能性があります。国内FXなら20.315%で済むところが、33%以上になってしまうわけです。
正直、これを知ったとき「海外FXが有利」という話は一体どこから来たんだろうと首をひねりました。
注意: 実際の税額は各種所得控除(基礎控除・社会保険料控除等)の適用後に計算されます。ここでは概算の比較として示しています。
副業サラリーマンへの影響:実数シミュレーション
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具体的な数字で見てみましょう。
前提: 給与年収450万円・FX利益50万円のケース
給与所得控除後の給与所得はおよそ316万円(概算)。ここに各種控除(基礎控除48万円・社会保険料控除等)を引いた課税所得が約200〜250万円程度と仮定します。
国内FXの場合
- FX利益50万円 × 20.315% = 約10.2万円の税負担
- FX利益部分は給与所得と切り離して計算される
海外FXの場合
- FX利益50万円は給与所得と合算される
- 課税所得が増えることで税率20〜30%帯に乗る可能性がある
- 概算で 10〜15万円の税負担(給与所得の状況次第)
この差は年間で数万円規模になり得ます。平日30分しかFXに使えない副業トレーダーにとって、同じ取引量で税負担だけ増えるのは痛い話です。
免責: 上記は概算シミュレーションです。実際の税額は個人の所得控除・家族構成・住んでいる自治体等により大きく変わります。正確な税額は税理士または確定申告ソフト等でご確認ください。
損益通算の違い:国内FXと海外FXで通算できる取引の範囲
損益通算とは、同じ年の利益と損失を合算して税金を計算できる仕組みです。FXで損失が出た場合、同じ区分の利益と相殺できます。
国内FXで損益通算できる金融商品(先物取引に係る雑所得等の区分):
- くりっく365
- 他社の国内FX業者での取引
- 商品先物取引
- 株価指数先物取引
- CFD(くりっく株365等)
- バイナリーオプション(取引所取引に限る)
国内FXで損益通算できないもの:
- 給与所得・事業所得・不動産所得(総合課税の所得との通算は不可)
- 上場株式・投資信託の譲渡損益(別の分離課税区分のため)
- 海外FXの損益(ここが落とし穴です)
見落とされがちなのがこの最後の点で、国内FXと海外FXの損益は通算できません。法的根拠としては、平成28年(2016年)10月1日の改正で、日本の金融庁に無登録の業者での取引は申告分離課税(租税特別措置法第41条の14)の対象外と明確化されました。課税区分が根本的に異なるため、通算の対象になりえないのです。
海外FXで損益通算できるもの:
- 同年の他の雑所得(副業収入・アフィリエイト収入・仮想通貨取引等)
ちなみに雑所得は年間の損失を翌年に繰り越すことができません。これが次のセクションで説明する繰越控除の違いにつながります。
繰越控除の違い:国内FXのみ3年間繰越可能
国内FXには、当年の損失を翌年以降3年間繰り越して利益と相殺できる繰越控除の制度があります。
私が最初の3年間に出した損失も、国内業者での取引だったのでしっかり繰越申告していました。4年目に利益が出始めた時に過去の損失と相殺できたのは大きかったです。
繰越控除を受けるための手続きチェックリスト
- [ ] 損失が発生した年の確定申告で「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を提出する
- [ ] 損失を繰り越す場合、損失が出た年から毎年継続して確定申告が必要(利益がゼロの年も申告しないと繰越権利が消える)
- [ ] 翌年以降の申告でも同明細書に繰越損失額を記載する
- [ ] 繰越控除は最長3年間(例:2024年の損失は2025・2026・2027年の利益と相殺可能)
「利益が出なかった年は申告しなくていいか」と思いがちですが、それをやると繰越の権利が途切れます。私も最初は知らなくて、1年分の繰越機会を逃した苦い経験があります。
海外FXには繰越控除がありません。 雑所得(その他)の損失は同年の他の雑所得と通算できますが、翌年への繰越は認められていません。この点は海外FXを選ぶ際の大きなデメリットです。
確定申告の申告義務:20万円の壁を理解する
副業をしている給与所得者には「20万円ルール」があります。
給与所得者の確定申告義務: 給与以外の所得(FXの利益を含む)の合計が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要になります(所得税法)。
気をつけたいのは、国内FXと海外FXの利益を合算して20万円を判定するという点です。国内FXで15万円・海外FXで10万円の利益が出た場合、合計25万円で申告義務が発生します。
「20万円以下なら税金がかからない」というわけでもありません。住民税の申告は別途市区町村への申告が必要なケースもあります。少額でも利益が出た場合は、お住まいの市区町村の税務窓口で確認しておくほうが無難です。
| 利益額 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 | |---|---|---| | 20万円以下 | 不要(原則) | 別途確認が必要 | | 20万円超 | 必要 | 確定申告で完了 |
「海外FXが有利になる例外ケース」について正直に書く
ここまで読むと「国内FX一択では?」と思うかもしれません。ただ正直に言うと、例外ケースが存在します。
課税所得の合計が195万円以下になるケースでは、海外FXの総合課税の税率(所得税5%+住民税10%=15%)が国内FXの申告分離課税(20.315%)より低くなります。
たとえば、年間を通じてほとんど給与がなく、パート収入や少額の副業だけで課税所得が195万円以下に収まる方のケースです。ただし、フルタイムの会社員であれば給与所得控除後でも課税所得が195万円を下回るケースは稀だと思います。
また、海外FX特有の高レバレッジや取引ツールを求める場合は、税負担の差を考慮した上で選択することになります。大きなリスクを取れば大きな損失につながる可能性もある点は、どんな場合でも忘れないでください。
まとめ:どちらが有利かはケースバイケース
国内FXと海外FXの税率の違いをまとめると次のとおりです。
副業サラリーマンに国内FXが有利な理由:
- 申告分離課税で税率が一律20.315%に固定される
- 損失の3年間繰越控除が使える
- 同区分の先物・CFDとの損益通算が可能
海外FXが有利になる場面:
- 課税所得が195万円以下の低所得のケース(このケースに限る)
私自身は国内業者をメインに使い続けています。平日30分しか取引できない中で税務上のリスクも取りたくないからです。損失を出していた時期に繰越控除の恩恵を受けられたのは、国内業者を使っていたからこそでした。
どちらが有利かは年収・FX利益の規模・他の所得状況によって変わります。一定の利益が出始めたら、税理士に相談することも選択肢に入れてみてください。
免責事項: この記事は一般的な情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。具体的な税額計算・申告手続きについては、税理士または国税庁の公式情報(国税庁 No.1521)をご参照ください。税制は改正される場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q: 国内FXと海外FXの損益を合算して確定申告できますか?
A: できません。国内FXは「先物取引に係る雑所得等(申告分離課税)」、海外FXは「雑所得その他(総合課税)」と課税区分が根本的に異なるため、損益通算の対象になりません。
Q: 海外FXで損失を出した場合、翌年に繰り越せますか?
A: 繰り越せません。海外FXの利益は総合課税の雑所得として扱われますが、雑所得の損失は翌年への繰越控除が認められていません。国内FXであれば最長3年間の繰越が可能です。
Q: 国内FXで損失が出た年でも確定申告は必要ですか?
A: 繰越控除を使いたい場合は必要です。損失を翌年以降に繰り越すには、損失が出た年から毎年継続して申告しなければなりません。1年でも申告を飛ばすと繰越の権利が途切れる点に注意してください。
Q: 副業FXの利益が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
A: 所得税の確定申告は原則不要ですが、住民税の申告が別途必要になる場合があります。お住まいの市区町村の窓口で確認することをおすすめします。
Q: 国内FXの利益と株式の損失を相殺できますか?
A: できません。国内FXは「先物取引に係る雑所得等」、上場株式・投資信託の譲渡損益は「株式等に係る譲渡所得等」と課税区分が異なるため、損益通算の対象になりません。
